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保育士試験の合格率は?難易度の高さと試験内容をおさらい

2022/04/22
資格・仕事

保育士免許を取得するためには、保育士養成施設を卒業するほか、保育士国家試験に合格しなくてはなりません。保育士を目指している方にとって、保育士国家試験の合格率は気になる情報なのではないでしょうか。ここでは、保育士国家試験の合格率や難易度を紹介します。あわせて、保育士国家試験の出題科目についても解説します。

保育士国家試験の合格率は?

一般的に、難易度が高いといわれている保育士国家試験。試験の合格率や、令和2年(2020年)時点での試験の実施状況をまとめました。

合格率は約20%前後

保育士国家試験の合格率は、約20%前後といわれています。令和2年度(2020年度)から以前の4年分の受験者数と合格者数、合格率は以下の通りです。

保育士国家試験 受験者数・合格者数・合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 44,914人 10,890人 24.2%
令和元年 88,076人 18,330人 23.8%
平成30年度 68,388人 13,500人 19.7%
平成29年度 462,555人 13,511人 21.6%

出典:
厚生労働省「保育士国家試験の実施状況(令和2年度)」 厚生労働省「保育士の現状と主な取組」

令和2年度(2020年度)は、受験者数が過去4年間に比べると、3~4割程少なく、合格率は最も高い24.2%という結果になっています。令和元年(2019年度)では、受験者数・合格者数ともに最も高く、合格率は23.8%です。平成30年度(2018年度)の記録では受験者数68,388人に対して合格者数が13,500人、合格率は19.7%となっています。平成29年度(2017年度)では受験者数が62,555人に対し合格者数は13,511人、合格率は21.6%という結果が発表されていました。平成29年度~令和2年までの4年間の傾向をみると、数パーセントの差異があるものの、近年における保育士国家試験の合格率が20%前後に留まっていることがわかります。

試験の実施日程

保育士国家試験は、前期試験と後期試験に分けられます。前期試験は4月(筆記試験)と6月(実技試験)、後期試験は10月(筆記試験)と12月(実技試験)という日程でそれぞれ実施されます。ただし、令和4年(2022年)の前期実技試験は7月だと報告されています。

参考までに、令和4年の保育士国家試験の日程は、以下の通りです。

【前期試験】
筆記試験:令和4年4月23日(土)~24日(日)
実技試験:令和4年7月3日(日)

【後期試験】
筆記試験:令和4年10月22日(土)~23日(日)
実技試験:令和4年12月11日(日)

保育士国家試験の合格率が低い理由は?

合格率は20%前後と、保育士国家試験の合格率は高くありません。合格率の低さの背景には、以下のような理由があると考えられます。

難易度が高い

保育士国家試験では、筆記試験だけでも9つの科目が出題されます。合格ラインは、各科目100点満点中6割以上となっており、9科目すべての試験で6割以上の点数を取らなくてはなりません。「苦手な科目を得意な科目の点数で補う」という方法が通用しないため、難易度が高いといえるでしょう。

とはいえ、一度合格した筆記試験科目については3年間有効となります。有効期限内であれば該当科目の試験が免除となるため、その免除期間中に不合格であった残りの教科の勉強に充てることもでき、勉強の負担をやや軽減できるでしょう。その点を踏まえて、より効率的な勉強計画を立てることが大切です。

筆記・実技両方の試験に合格する必要がある

保育士国家試験では、筆記試験と実技試験の2つの試験が実施されます。筆記試験と実技試験の両方に合格しなくてはならないため、その分合格難易度が高く感じられるのです。しかし、保育の現場では知識だけでなく実践力や対応力も求められます。良い保育士になるためにも、筆記試験と実技試験の合格に必要な基礎はしっかりと固めておきたいところです。

保育士試験の出題科目:筆記試験編

保育士国家試験の筆記試験では、どのような科目が出題されるのでしょうか。科目とその出題内容を紹介します。

全9科目ある出題内容

保育原理や教育原理、社会的養護など全9科目から160問が出題されます。たとえば、保育原理の科目では、「保育の意義・目標・方法」「保育の基本・現状と課題」などの設問が20問出題されます。それぞれの科目と設問、出題内容は以下の通りです。なお、筆記試験の解答形式はマークシート方式となっています。

保育士試験 筆記試験出題科目

科目 設問数 出題内容
保育原理 20問 ・保育の意義・目標・方法
・保育の基本・現状と課題
・保育の思想と歴史的変遷
教育原理 10問 ・教育の思想と歴史的変遷
・教育の意義、目的および児童福祉等の関連性
・教育の制度・実践
・生涯学習社会における教育の現状と課題
社会的養護 10問 ・現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷
・社会的養護と児童家庭福祉
・社会的養護の制度と実施体系
・施設養護の実際
・社会的養護の現状と課題
子ども家庭福祉 20問 ・現代社会における児童家庭福祉の意義と歴史的変遷
・児童家庭福祉と保育
・児童家庭福祉の制度と実施体系
・児童家庭福祉の現状と課題・動向と展望
社会福祉 20問 ・現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷
・社会福祉と児童家庭福祉
・社会福祉の制度と実施体系・動向と課題
・社会福祉における相談援助・利用者の保護に関わる仕組み
保育の心理学 20問 ・保育と心理学
・子どもの発達理解
・人との相互的関わりと子どもの発達
・生涯発達と初期経験の重要性
・子どもの発達と保育実践
・生活や遊びを通した学びの過程
・保育における発達援助
子どもの保健 20問 ・子どもの健康と保健の意義
・子どもの発育・発達と保健・疾病と保育・精神保健
・環境及び衛生管理並びに安全管理
・健康及び安全の実施体制
・保健活動の計画及び評価
子どもの食と栄養 20問 ・子どもの健康と食生活の意義
・栄養に関する基本的知識
・子どもの発育・発達と食生活
・食育の基本と内容
・家庭や児童福祉施設における食事と栄養
・特別な配慮を要する子どもの食と栄養
保育実習理論 20問 ・保育実習理論・実技

特定の対象者は一部科目が免除される場合も

幼稚園教諭の免許を所持している方は、免除申請をすることで筆記試験の「教育原理」「保育の心理学」と、実技試験そのものが免除となります。また、幼稚園で3年以上(4,320時間以上)の実務経験を積んだ方は、「保育実習理論」の科目も免除となります。

そのほか、社会福祉士や介護福祉士、精神保健福祉士資格を所有している方は、登録証のコピーを提出することで「社会的養護」「社会福祉」「児童家庭福祉」の科目が免除されます。

保育士試験の出題科目:実技試験編

実技試験では、「音楽」「言語」「造形」の3つの科目から2つを選び、受験します。各科目では、どのような試験内容が用意されているのでしょうか。

音楽

保育士に必要な豊かなリズム感や、伴奏の技術を測定する試験です。ピアノ、アコースティックギター、アコーディオンのいずれかの楽器を選択し、2曲の課題曲を演奏・歌唱します。楽譜は持ち込むことが可能で、前奏や後奏をつけても問題ありません。なお、過去の課題曲は以下の通りです。

試験実施課題曲

試験実施年度 課題曲
令和3年度 ・あひるの行列
・揺籃の歌
令和2年度 ・大きな栗の木の下で
・ニャニュニョのてんきよほう
令和元年 ・どんぐりころころ
・バスごっこ

このように、子どもたちの前で弾き歌いすることを想定しているため、有名な童謡が課題曲となります。

言語

3歳児クラスの子どもたちに「3分間のお話」をすることを想定して、実際にお話をする試験です。お話の内容は、あらかじめ出題されている課題のなかから1つを選択します。子どもたちに対して適切な話し方ができるか、聴き取りやすい発声ができるか、抑揚のつけた豊かな表現ができるか、といった点が評価されます。また、試験の条件として、「15人程度の子どもが前にいることを想定する」「3歳の子どもが集中して楽しめるようにお話を3分でまとめる」「適切な身振りや手ぶりをまじえる」などがあげられます。

ちなみに、令和3年度の課題は「ももたろう」「おおきなかぶ」「三匹のこぶた」「三匹やぎのがらがらどん」で、このなかから1つを選んでお話するという内容でした。毎年課題として出題されるのは、国内外の有名な童話です。あらすじを3分にまとめることはもちろん、子どもたちを飽きさせないよう話し方の抑揚をつけたり、わかりやすい言葉を選んだりといった工夫も求められます。

造形

縦横19センチの枠内に、課題に沿った絵を描きます。「保育士と子どもたちが育てている花や野菜へ水やりをしているシーン」、「保育ルームで紙芝居の読み聞かせをしているシーン」など、保育の場面を想定した課題が試験当日に出題されます。使用できるアイテムは鉛筆またはシャープペンシル、12~24色の色鉛筆です。

造形の試験では、「保育の場面を的確にイメージした情景や色使い、人物の描写ができるか」といった点が評価されます。なお、前述した通り、課題は試験当日まで発表されません。よって、「園児・保育士などの登場キャラクターのレパートリーを自分のなかで決めておく」、「キャラクターの表情の練習をしておく」などの対策を練り、幅広いテーマに対応できるよう備えることが大切です。くわえて、明るくカラフルな色使いにすることも重要。明るい色や温かみのある色を中心に使い、黒を多用するのは避けましょう。たとえば、砂場を描くとき、グレーや黒ではなく薄い黄色やクリーム色などを使えば明るい雰囲気に仕上げられます。

受験資格の違い

保育士国家試験の受験資格は、最終学歴によって異なります。大学・短大卒業のケースをはじめとする、各最終学歴による受験資格の違いは以下の通りです。

保育士国家試験 最終学歴別受験資格

最終学歴 受験資格
大学・短大卒業 学校教育法に基づいた大学または短大を卒業していれば、学科・学部かかわらず受験資格あり
専門学校卒業 学校教育法に基づいた専修学校であること
・卒業過程が就業2年以上であること
以上2点を満たせば、学科にかかわらず受験資格あり
高校卒業 ・1991年3月31日以前に高校を卒業した場合は、受験資格あり
・1992年4月1日以降に高校を卒業した場合は、児童福祉施設で2年以上、かつ2,880時間以上の実務経験が必要
なお、 高校の保育科を1996年3月31日以前に卒業した場合、 実務経験にかかわらず受験資格あり
中学卒業 児童福祉施設で、5年以上かつ7,200時間以上の実務経験が必要

保育士試験に合格するにはどのくらいの勉強時間が必要?

前述の通り、保育士国家試験は合格率がおよそ20%と低く、しっかりとした対策を練る必要があります。では、合格するためにはどのくらいの勉強時間が必要となるのでしょうか。ここでは、独学で勉強する場合を想定して勉強時間の目安やスケジュールの立て方のコツを紹介します。

一般的には、100~150時間の勉強時間が必要とされています。1日1時間勉強すると仮定した場合、4~5ヶ月程度必要となる計算です。平日は1日1時間、週末や休日には1日3時間と、ライフスタイルに合わせて効率良く勉強時間を確保することが重要となります。まずは、1日、1週間ごとに期間を区切り、まとまった勉強時間が月にどの程度確保できそうかをシミュレーションしてみましょう。

勉強期間を短くしすぎると勉強時間の確保が難しくなり、長くしすぎるとモチベーションを維持することが難しくなるため要注意です。独学からの一発合格を目指す場合、勉強期間は3~5ヶ月程度、長くても6ヶ月程度を目安にすると良いでしょう。

スケジュールを立てる際のポイント

勉強期間の時間の目安をある程度決めたら、スケジュールを組んでいきます。「〇月まではインプット期間、〇月からは問題集で演習、〇月からは総仕上げ」というように、大枠でのスケジュールを決めておきます。

・1~3週目:テキストを読み込むインプット期間、科目を理解する期間
・3~8周目:過去問や問題集で演習する期間
・8~9周目:模擬試験で本番に向けて対策をする期間
・10週目以降:総復習の期間

大枠のスケジュールに合わせて、「〇月までには過去問で最低7割以上の得点をとれるようにしておく」という細かい目標を立てることも忘れずに。くわえて、自身に合った教材を見つけることも重要です。とくに独学で勉強する際は、独学向けのテキストや問題集を選ぶと良いでしょう。解説が入っている過去問題集、一問一答式のテキストなど、勉強の段階別に教材を選びます。

また、独学で合格を目指す場合は通信講座を上手に活用することもおすすめです。仕事と両立しながら勉強を続けている方、家事と勉強を両立している主婦(主夫)の方など、それぞれのライフスタイルに合わせたカリキュラムがそろっている通信講座であれば、なお良いでしょう。

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