子育てをしていると、「小1の壁」という言葉を耳にする機会は少なくないはず。世のお父さん・お母さんを悩ませる「小1の壁」について、その概要と実際にぶつかる問題の例、小1の壁を乗り越えるための対処法をご紹介します。
そもそも小1の壁とは?
小1の壁とは、子どもが小学校へ入学してから、保護者の仕事と子育ての両立が難しくなることを指します。小学校は保育園とは違い、用意する教材や備品の数が大幅に増加します。くわえて、学校行事やPTAなどに参加したり、宿題や提出物をチェックしたりといったタスクも増え、保護者がかなり忙しくなってしまう状況になります。
また、保育園には延長保育があるため、仕事や交通事情などの都合によっては子どもを長く預けることが可能でした。それに対し、小学生を預かる学童保育では保育園に比べると、終了時間が圧倒的に早く、長時間の預かり依頼ができないという事態になってしまうのです。地域によっては学童保育のサービス供給が間に合わず、そもそも利用することが難しいという家庭もあります。その結果、働き方を変える母親は少なくありません。
小1の壁に大きくぶつかる時期としては、「入学式までの春休み」と「小学1年生の1学期」があげられます。たとえば、幼稚園卒園後~小学校入学までの春休みには、学童保育が利用できるか否かがカギとなります。待機児童がいれば、入れるか否かが第一関門に。学童へ入れても、各種教材を用意したり、入学式に向けた準備をしたりと忙しい日々が続きます。
小学1年生の1学期からは、いよいよ新しい環境になります。宿題のチェックをしたり、学校からのプリントをチェックして必要な持ち物を用意したりと、一気に負担が増加してしまうのです。
小1の壁でぶつかる具体的な問題
小1の壁でぶつかる問題は様々です。以下でご紹介する項目は、とくに悩まされる方が多い項目です。
各種備品の用意
小学校へ上がると、教科書やノート類に加え体操着や給食袋、鍵盤ハーモニカなど用意するものが増えます。これらをすべてそろえた後は、1つひとつに名前を記入しなくてはなりません。学校指定の学用品を購入する場合は、指定のお店まで足を運ぶ必要もあります。
宿題・提出物のチェック
毎日の宿題や提出物のチェックもしなくてはなりません。丸つけをしたり、音読のチェックをしたりするのは意外と手間がかかります。子どもがなかなか宿題に取りかからず、つい「早くしなさい!」ときつく叱ってしまい、後から自己嫌悪に陥った…という方もいるのではないでしょうか。
連絡事項のチェック
学校からのプリントをチェックして、家庭へのお願いや授業で使う持ち物を確認します。ときには、「今日は工作の材料が必要」「今日は体操着で登校」という情報を直前になって知り、慌てて準備をすることも。連絡帳で必要事項を確認できていた保育園時代と比べると、日々のプリントチェックは大きな負担になってしまうでしょう。
PTA・学校活動への参加
小学校へ入学すると、学校行事も増えます。とくに遠足をはじめ、写生会や授業参観、運動会などは何かと準備することが多く、バタバタしてしまうものです。PTAや保護者会への参加もしなくてはならず、仕事との両立はさらに難しくなってしまいます。
送迎時間が早くなる
学校の授業の終了時間、学童の預かり終了時間は保育園と比べると早めなのが一般的です。結果的に保育園に預けていたときよりも送迎時間が早くなり、「仕事との都合がなかなかつけられない」と悩む方は少なくありません。
洗い物や洗濯など家事負担の増加
体操着や給食袋など家庭での洗い物も増えます。とくに、夏頃になれば汗や汚れがより気になり始めますし、水泳の授業があれば水着の洗濯もしなくてはいけません。普段の洗濯物もそこに加わるため、「予想以上に手間がかかってしまう」と疲れてしまう方も多いのです。
長期のお休みの負担
体操着や給食袋など家庭での洗い物も増えます。とくに、夏頃になれば汗や汚れがより気になり始めますし、水泳の授業があれば水着の洗濯もしなくてはいけません。普段の洗濯物もそこに加わるため、「予想以上に手間がかかってしまう」と疲れてしまう方も多いのです。
時短勤務の制限
現在は、子どもが小学生へ上がると同時に、時短勤務を終了させる企業が少なくありません。身の回りのことがひと通りできるようになっているとはいえ、小1はまだまだ手のかかる時期です。環境が大きく変わったことで、子どもが知らず知らずのうちにストレスを抱えていたり、悩んでいたりすることもあります。子育ての大変さは変わらないのに、時短勤務は終了してしまうとなると大きな負担になってしまうでしょう。
小1の壁で働き方を変えざるを得なくなる?
長期のお休みや教材の準備、学校行事への参加など、小1の壁では様々な問題にぶつかります。こうした問題を受けて、働き方を変えたり、思い切って退職・転職をしたりする方も見受けられます。退職・転職する場合と、雇用形態を変更する場合のメリット・デメリットを以下でご紹介します。
退職・転職する場合
専業主婦で居続けることは難しいかもしれませんが、「就職活動をしつつ、しばらくは子どもといる時間を増やす」という過ごし方を選ぶ方は多いはずです。派遣社員やパート社員であれば勤務時間・勤務形態の融通を利かせやすく、学校行事にも参加しやすくなるでしょう。
また、教材の準備や宿題のチェック、連絡事項の確認などのタスクも、余裕を持って行えるようになります。時間的・精神的余裕がなく、「ついきつく叱ってしまった」「早くするよう急かしてしまった」ということも減るのではないでしょうか。とくに、宿題や提出物をゆっくり見てあげられることは、大きなメリットです。子どものつまずきにいち早く気づくことができ、勉強面のサポートがしやすくなります。また、「親にゆっくり話を聞いてもらえる」、「宿題を教えてもらえる時間が十分にある」ということは子どもの安心感にもつながるでしょう。
一方、退職や転職するデメリットとしては金銭面の不安があげられます。フルタイムの正社員時代と比べると収入が減るため、家計が赤字になる可能性も出てきます。また、キャリアにも空白期間が生じるため、「正社員としての復帰が難しくなる」「仕事の選択肢が狭まってしまう」といったデメリットもあります。
この場合、必要に応じて家計を見直したり、在宅でも可能な仕事を探したりといった工夫が必要となります。退職・転職するにあたり、毎月の収支を洗い出したうえで、無駄を省いていくと良いでしょう。一度家計を見直すことで、「思ったより無駄遣いしてしまっていた」という気づきにもつながります。
雇用形態を変更する場合
現在在籍している会社は退職せず、雇用形態のみを変更するという選択肢もあります。現在の職場を退職した後、すぐに次の仕事が見つかるとは限りません。また、新しい職場環境で思わぬストレスを抱えてしまうリスクもあります。雇用形態の変更に留めれば、馴染みの職場で働き方だけを変えられるのが大きな魅力です。現在の職場で積み上げてきたスキルやキャリアも、引き続き活かすことができます。正社員時代に比べれば時間的な余裕も生まれるため、仕事と育児の両立がしやすくなるでしょう。
一方、デメリットとしては退職・転職した場合と同じく、金銭的な負担が大きくなることです。職場が変わらないとはいえ、給与形態が変わるため収入が減ってしまいます。毎月のやりくりに不安を感じてしまうこともあるでしょう。正社員と比べると、平日のお休みも取りやすくなりますが、その分給与も減ってしまいます。また、育児だけでなく仕事にもやりがいを感じている方は「負担は減ったけれど、何か物足りない」と感じてしまうこともあるようです。
小1の壁の対策
ここでは、小1の壁を乗り越えるための対策をいくつかご紹介します。自治体の制度を活用する、実家に頼るなど、まずは自身でできそうな対策を検討してみてください。
学童保育の利用
可能であれば、学童保育の利用を検討してみましょう。学童保育は小学校入学前から募集がかかり、4月から通えるケースが一般的です。学童では児童支援員の見守りのもとで宿題をしたり、自由に遊んだりして過ごせます。異年齢交流を大切にしている学童保育もあり、思いがけず子どもの交友関係が広がることもあります。
ただし、待機児童に対して学童保育の整備が追いついていなかったり、利用時間の都合が合わなかったりといった課題があるのも現状です。とくに、預かりは18時までとしているところが多く見られます。そうなると仕事の都合上お迎えが間に合わず、1人で帰宅させてしまうことになります。学童保育の利用時間と、勤務時間の兼ね合いを考えることが重要です。
実家に頼る
自宅と実家の距離が近いのであれば、まず実家に相談するのも良いでしょう。孫と会えることに喜んで、積極的にサポートを申し出てくれる可能性があります。子どもも、おじいちゃんやおばあちゃんと過ごせることに喜んでくれるでしょう。面倒を見てくれる方がいたほうが、1人で行動させるよりも防犯上の理由で安心できます。
ただし、実家の両親にも時間や日程の都合があるものです。「毎日面倒を見てもらうことは難しい」という心構えでいたほうが、気持ちに余裕ができるでしょう。くわえて、いくら家族とはいえ甘え過ぎてしまうのも問題。良好な関係性を保つためにも、最低限の気遣いは必要です。
ファミリーサポートセンターの利用
ファミリーサポートセンターとは、各自治体が運営しているサポートセンターのことです。子育てをサポートする「提供会員」と、サポートを依頼できる「依頼会員」で構成されています。依頼会員になることで、子どもの一時預かりやお迎えを有料で依頼できるようになります。さらに、ファミリーサポートセンターの提供会員は「市町村指定の講習を受講した方」と指定されていることもポイントの1つです。子育てに対する知識・熱意を持っている方にサポートを依頼できるため、安心して子どもを預けられます。
ちなみに、利用料金は一般的に1時間単位で決められているケースが多く見受けられます。たとえば、東京千代田区のファミリーサポートセンターでは、月~土曜日の午前9時から午後5時までは1時間800円、午前7時~9時、午後5時~9時までは1時間1,000円で設定されています。
習い事を検討するのも良い
家計に余裕があるのであれば、習い事を始めるのも良いでしょう。たとえば、英会話教室や水泳教室などは、根強い人気を誇る定番の習い事です。近年では、ロボット作り教室やプログラミング教室など理系分野に重きを置いた習い事も注目を集めています。「モノづくりが好きな子だから」、「大人になっても役立つ知識を身につけてほしいから」という理由で、こうした習い事へ通わせる方は少なくないはずです。習い事は、学童保育や放課後子ども教室などと同じく、家と学校に次ぐ子どもの居場所になります。
パソナフォスターでは、子どもたちの居場所・学びの場としての学童クラブ「Miracle Labo」を展開しています。
東京学芸大学との共同研究のもと開校したMiracle Laboは、対話を中心とした「問題解決型学習」や、英語で思考する力を磨く「STEM英語」など様々なプログラムを用意しています。夏休みをはじめとした長期のお休み期間中は、終日のプログラムも実施しています。
Miracle Laboの詳細はこちら
また、パソナフォスターでは、企業の従業員様とそのお子さんたちへ向けた「Miracle Holiday」も実施しています。
夏休み・冬休み・春休みなど長期休み、社内イベント時に預かり先が必要となった際などに活用いただけるのが魅力です。社内の空きスペースに会場を設置することもできるので、従業員様も安心して、仕事に専念できます。
コンテンツも充実していて「英会話」「STEM教育」「からだづくり」「SDGs」など多彩なプログラムで、お子さんたちにいつもと違う特別な体験をさせることが可能です。
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