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育休明け社員の復職支援をしよう!育休復帰支援プラン等の復職支援策を紹介

2022/06/27
支援・制度

子育て世代の社員にとって、育休明けの復帰は不安になったり緊張したりするもの。そんな育休明けの社員を支えるのに必要なのが、復職支援や復帰支援です。ここでは、育休明け社員の復職を支援する「育休復帰支援プラン」の概要をはじめとした復職支援の制度を解説します。

育休明け社員の復職支援に欠かせない「育休復帰支援プラン」

育休復帰支援プランとは、厚生労働省によって導入された復職支援プランです。企業は、社員の円滑な育休取得および育休後の復職を支援しなければなりません。育休復職支援プランは、育休取得・育休明けの復職を支援するために策定するプランなのです。厚生労働省による策定マニュアルが用意されており、個々の企業が策定マニュアルに沿って復職支援プランを作成していきます。 育休復帰支援プランを策定するメリットは様々です。子育て世代の社員のライフワークバランスを実現できることはもちろんですが、企業にとってもメリットがあります。とくに中小企業の場合は、条件を満たすことで助成金を獲得できる可能性があるのです。 育休復帰支援プランのなかには、「出生時両立支援コース」、「介護離職防止支援コース」などの助成金を獲得するための基準が設定されています。中小企業を対象としているのは、「育児休業等支援コース」です。これは1企業につき正社員1名、契約社員1名の計2名分の助成金を受け取れるコースとなっています。

育児休業等支援コースの対象となるには?

以下の条件を満たした場合に、育児休業等支援コースの対象となります。育休取得時・復職時の条件が複数あるため、そのなかの一部を紹介します。

育休取得時の条件

  • 育休復帰支援プランを作成すること
  • 3ヶ月以上の育児休業を取得すること(産後休業を取得する場合、産後休業期間を含めたうえで3ヶ月以上の休業期間を取得すること)
  • 円滑な育休取得・職場復帰を支援するため、育休復帰支援プランに基づいた支援を明文化し、その旨を社員へ周知していること
  • 休業までの業務の整理や引継ぎに関すること、復職後の働き方や資料の共有方法についての情報を、面談を実施したうえで決定し、その旨を記録していること

復職時の条件

  • 育休復帰支援プランに基づき、対象者の休業中における職場の情報や資料提供を行うこと
  • 対象者の復職時は、原則として現職へ復帰させ、なおかつ6ヶ月間継続雇用すること
  • 対象者の職場復帰前・後に、上司または人事担当者による面談を実施し、面談結果の記録を残すこと

育児休業等支援コースで受け取れる助成金

前述の通り、育児休業等支援コースの条件を満たした中小企業は助成金を受け取ることができます。金額は、育休取得時・職場復帰時でそれぞれ28.5万円と設定されており、1事業主につき社員2人(正社員1人、契約社員1人)に支給されます。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)とは?

「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」は、育児休業支援コースと同じく育休復帰支援プランを導入することで助成金が受け取れます。男性社員が育児休業または育児目的の休暇を取得しやすいよう配慮したうえで、実際に男性社員が育児休業や育児目的の休暇を取得した場合に支給されます。こちらは中小企業だけでなく大企業も対象です。1人目の育休取得時に受け取れる助成金は、中小企業で57万円・中小企業以外で28.5万円と設定されています。2人目以降からは、休業日数によって金額が変動する仕組みとなっています。

プラン策定前に確認しておきたい、育休・復職支援制度

育休復帰支援プランは、厚生労働省が発表している『中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル』もとに策定していく必要があります。策定前には、育児休業をはじめとした様々な育休・復職支援制度について把握することが大切です。

育児休業制度

いわゆる「育休」と呼ばれるのが、この制度を指します。子どもが1歳に達するまでの期間中に(母親の場合、出産から8週間の産後休業を含める)、育休を取得できる制度です。社員が育休の取得を希望した場合、企業はその申請を必ず認めなくてはなりません。育児休業中は、「育児休業給付金」も受給できます。育児休業と混同されがちな言葉に「育児休暇」がありますが、育児休暇はあくまで企業ごとに定めている福利厚生です。法令上の制度である育児休業とは性質が異なるため、混同しないように注意しましょう。また、育児休業は女性社員だけでなく男性社員も取得対象となります。

育児短時間勤務制度

3歳未満の子どもがいる社員を対象にした制度です。2009年の育児・介護休業法の改正に伴い、導入されました。対象となる社員の1日の所定労働時間を原則6時間とすることを定めています。仕事と育児の両立には、大きな体力的負担がかかります。同制度は、社員の体力的負担を軽減することで、仕事と育児の両立を支援する制度として整備されています。

時間外労働の制限

未就学の子どもがいる社員を対象にした制度です。対象となる社員は、子どもが小学校へ入学するまでの間、「1ヶ月24時間まで」、「1年150時間まで」という条件で時間外労働が制限されます。育児休業制度と同様に、社員から希望があった場合、事業主は必ず承認する必要があります。

所定外労働の制限

こちらも、3歳未満の子どもを持つ社員が対象となる制度です。対象となる社員から希望があった場合、事業主は所定外労働を制限しなくてはなりません。

深夜業の制限

こちらの制度は、未就学児の子どもがいる従業員が対象となります。子どもが小学校へ入学するまでの期間中、対象社員は深夜業の制限を事業主へ申請することができます。具体的には1回の申請につき、1ヶ月以上・6ヶ月以内の制限期間を申請できます。申請回数に上限は設けられていません。

【出典】厚生労働省 中小企業のための「育休復帰支援プラン」 策定マニュアル (改定版)

2022年4月には育休制度の改正も

2021年6月には、育児・介護休業法の改正が決定しました。2022年4月から秋にかけて、新しい育休制度が徐々に導入されていく予定です。改正後と前ではどのような点が変わるのか、以下で紹介します。

「出生時育児休業」の新設

パパになった男性は子どもの出生後8週間以内に、4週間まで育休を取得できる仕組みが新設されます。これは「出生時育児休業」と呼ばれ、男性は出生8週間以内に育児休業を取得するケースが多いという点を受けて導入が予定されています。2022年10月頃を目途に、導入される予定です。期間中であれば育児休暇を2回に分けて取得できるため、仕事の予定を鑑みながら柔軟に育休を取得できます。また、現在では育児休業の取得申し出は取得の1ヶ月前とされていますが、2週間前までという条件へ変更されます。

育児休業の分割取得について

こちらも、2022年10月を目途に導入される予定です。現在の育児休業制度では、原則として1人の子どもに対して1回しか育児休業を取得できません。しかし改正によって、分割2回まで取得できるようになりました。これと併せて、前述した出生時育児休業の新設により男性は出生後8週間以内であれば4週間までの育児休暇を分割で2回取得できるようになるため、男性は計4回育児休暇を取得可能となるのです。

有期雇用労働者の育休取得要件について

契約社員やパート社員など、有期雇用労働者が育児休業取得する際の要件も緩和されます。こちらの改正は、2022年4月1日からの適用となります。従来の育児休業制度では、有期雇用労働者が育児休業を取得する際は、以下の条件を満たしている必要がありました。

  • 雇用期間が1年以上
  • 1歳6ヶ月までに契約が満了しない
  • しかし改正によって「雇用期間が1年以上」という条件が外され、6ヶ月や1年など労働期間に定めのある有期雇用労働者も育児休業を取得しやすくなります。

    育休取得のための環境整備

    現行制度では、育休制度についての社員への周知や取得するか否かの意向確認はあくまで努力義務とされています。しかし今回の法改正では、育休制度の周知と取得の意向確認が義務付けられます。こうした改正に伴い、育休取得を促進するための研修を実施したり、相談窓口を設置したりなどの環境整備も必要となってくるでしょう。

    育休取得状況の公表を義務づけ

    今回の法改正により、社員が1,000人以上の企業には育休の取得状況の公表が義務付けられます。公表内容の具体例は、追って決定される予定で、実際の導入は2023年4月1日と報告されています。

    育休取得から復職までに行う支援のステップ

    事業主や人事部は、社員が育児休業を取得してから復職するまでのフローごとに、様々な支援を行う必要があります。自社の支援制度の見直しにはじまり、育休復帰支援プランの策定までのステップを以下でまとめました。

    自社の育休支援制度の整備・見直し

    社員を支援するにあたって、自社の育休を支援する制度を改めて見直すことが大切です。とはいえ確認事項が多く、「どこから見直せば良いのかわからない」という場合もあるでしょう。そんなときは、厚生労働省が発表している『中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル』のチェックリストを活用するのがおすすめです。チェックリストには「妊娠~出産期に整備すべき措置・制度」「育児期に整備すべき措置・制度」の2種類があり、それぞれのチェックリストで自社の育児休業制度に対する整備状況がわかるようになっています。 たとえば「妊娠~出産期に整備すべき措置・制度」では、「妊娠中の女性が請求した場合、他の軽易な業務に転換させている(軽易業務への転換措置)」、「6週間以内に出産する予定の女性が産前休業取得を請求した場合、休業させている。また、出産後8週間経過しない女性を休業させている(産前・産後休業)」などのチェック項目があります。こうしたチェックリストを記録していくことで、自社にはどんな支援制度が揃っているのか、またどんな支援制度が不足しているのかを把握できます。それらの結果をもとに、具体的な支援へ移ります。

    具体的な支援

    上司や人事担当者と対象社員で面談する機会を設け、対象社員の希望を確認します。面談を実施する回数とタイミングは、妊娠報告後と休業2ヶ月前、復職1~2ヶ月前、復職2ヶ月後の計4回を想定しておくと良いでしょう。同時に会社は、業務の整理や引継ぎに関わる対応、各種助成金の説明なども行い、支援が正しく行き届くよう説明義務を果たさなくてはなりません。

    マニュアルに沿った育休復帰支援プランの策定

    厚生労働省の『中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル』に沿って、対象社員の業務と職場の状況を踏まえたうえで支援プランを固めていきましょう。『中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル』では、状況に応じたA~Kまでのモデルプランが用意されています。「代替要員の確保が難しい場合」、「人手が不足しており残業が多い場合」など、職場と社員の状況に合ったモデルプランを参考に育休復帰支援プランを練っていきます。 子育て世代の社員が安心して働くためには、育児休業制度をはじめとした支援制度は欠かせないものです。また、その他の福利厚生で社員の子育てを支援するという方法もあります。

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