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放課後児童支援員になるために必要なこととは?

2023/11/20
お知らせ(保育コラム)資格・仕事

放課後児童支援員は、学童クラブや児童クラブなどで子どもたちと接する専門職です。2015年に新しく創設された専門資格ですが、具体的な仕事内容や似た職業である「放課後児童指導員」との違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。ここでは放課後児童支援員の業務内容や、放課後児童支援員として働くために必要な資格、条件を紹介します。

放課後児童支援員とは?

放課後児童支援員とは、学童クラブや児童クラブなどの「学童保育施設」で働く職業のことです。2015年4月にスタートした「子ども・子育て新制度」によって創設されたという経緯があります。これにより、学童保育施設には1名以上の放課後児童支援員の配置が義務付けられることとなりました。

放課後児童支援員の役割は、子どもたちが放課後に安心して勉強したり遊んだりする場所を提供することです。子どもたちに勉強を教えたり、一緒におやつを食べたり、遊び相手になったりするのが主な仕事内容になっています。

放課後児童支援員と放課後児童指導員の違い

放課後児童支援員と似た役割に「放課後児童指導員」があります。放課後児童指導員は、ほかに「学童指導員」、「学童保育指導員」という名称で呼ばれることがあります。放課後児童支援員と放課後児童指導員の大きな違いは、資格の有無です。放課後児童支援員として働くためには条件を満たして資格を得る必要がありますが、放課後児童指導員は無資格であっても就業できます。放課後児童支援員の資格が創設される以前は、学童保育施設で働く職員はまとめて「放課後児童指導員」と呼ばれていました。現在は有資格者のスタッフを「放課後児童支援員」、無資格者のスタッフを「放課後児童指導員」と呼び分けています。

一方で仕事内容は両者とも共通しており、子どもたちの勉強をみたり、一緒に遊んだりするのが主な仕事内容です。両者とも学童保育施設で働くケースが多く、活躍の場所にも大きな違いはありません。

放課後児童支援員が働く「学童保育施設」とは?

放課後児童支援員が働く「学童保育施設」は、子どもたちを放課後や長期のお休み期間中に預かる施設のこと。名称は自治体によって微妙に異なり、「学童クラブ」や「放課後キッズクラブ」と呼ばれることもあります。「共働きなので放課後の子どもの世話をする人が家にいない」という世帯の子どもが主に利用しています。

1997年、学童保育施設に係る法制化が行われました。2007年には厚生労働省によって「放課後児童クラブガイドライン」が発表され、施設運営の基本事項や理想とする方向性が周知されました。さらに2014年には、児童福祉法の改正によって学童保育施設の運営・設備に係る条例が発表されています。

学童保育施設の種類

一言で学童保育施設といっても、その種類はさまざまです。自治体が母体になっている施設をはじめ、保護者団体や民間企業によって運営されている施設もあります。以下で、主な学童保育施設の種類と特徴をまとめました。

公設学童保育施設とその類似事業

自治体が運営母体となっている「公設公営」の施設と、自治体によって設立され民間によって運営されている「公設民営」の施設がこれにあたります。学校内または児童館を使用するケースが一般的で、対応時間は放課後から18時頃までとしている施設が多くみられます。料金は自治体によって異なりますが、月額4,000~7,000円ほどとしている施設がほとんどです。利用条件には、「保護者が仕事もしくは長期の入院により、日中子どもの面倒をみられない」といった理由が必要になります。

民間学堂保育

NPOや民間企業によって運営されている施設です。小学生であれば、公立・私立問わず柔軟に利用できるのが大きな特徴です。また、おやつだけでなく夕食も提供したり、夜遅くまでの預かりに対応していたりする施設もあります。さまざまなサービスを提供していますが、民間運営であるため行政からの補助を受けられないのがネックとなっています。したがって、毎月の利用料金が3万円~6万円ほどと、公営の学童保育施設に比べると割高の設定です。

共同保育

保護者団体によって設立・運営される施設です。運営資金が限られているため、有志による保育料でまかなわれている部分が大きいという特徴があります。在籍する子どもの数によって行政から補助金を受けているケースもありますが、それもあまり一般的ではありません。一方で、保護者からみると、要望や思いを直接園へ反映できるのが共同保育施設の魅力です。利用料金は、1ヶ月2万円前後で設定しているところが多くみられます。

放課後児童支援員は上記に挙げた施設に在籍し、子どもたちをサポートしています。

放課後児童支援員の具体的な仕事内容と勤務時間

子どもたちが安心して過ごせる学童保育施設をつくるためには、放課後児童支援員の存在が不可欠です。そんな放課後児童支援員の具体的な仕事内容と、1日の仕事の流れを紹介します。あくまでも一例として参考にしてください。

学校の勉強や宿題を教える

学校にもよりますが、15時過ぎには小学校低学年の子どもたちが入室してきます。入室してきたら、放課後児童支援員が学校の勉強や宿題をするのを見守ります。宿題がひと通り終わったら、児童の申し込みに応じておやつが提供されます。

一緒に遊ぶ

勉強後の自由時間には、放課後児童支援員も子どもたちと一緒に遊びます。ボール遊びをしたり、お絵描きや工作をしたりと子どもたちが各々好きな遊びをするので、子どもたちが遊びやすいように適切なサポートをします。

子どもたちの橋渡し役もする

放課後児童支援員の仕事は、勉強を教えたり遊び相手になったりするだけに留まりません。ときには子どもたちの仲を取り持つ橋渡し役になったり、言い争いがあれば仲裁したりするのも放課後児童支援員の役割です。よって、臨機応変な対応力が求められます。何よりも、子どもたちに寄り添う姿勢でいることが大切なのです。

勤務時間はどれぐらい?

公立施設と民間施設によって微妙に差異がありますが、平日は基本的に午後からの勤務となります。12時~18時までの勤務を基準に考えておくと良いでしょう。延長時間は公立施設だと19時まで、民間施設だと20時以降まで対応しているところもあります。また、土日や夏休みなどの長期休暇は朝から夕方・または夜間までの勤務になるのが一般的です。1日を通してやることは多いですが、子どもたちの成長を間近で見守れるやりがいのある仕事です。

放課後児童支援員になるには

放課後児童支援員は専門資格であるため、さまざまな条件を満たしてはじめて放課後児童支援員として就労できます。具体的には9つの資格取得条件のうちいずれか1つに該当していること、各地方公共団体が主催する研修を修了することが条件です。

資格取得条件

9つの資格取得条件は、以下の通りです。以下のいずれかに当てはまれば、自治体が主催する研修を受講できます。

  • 社会福祉士の資格を有する方
  • 保育士資格を有する方
  • 高卒以上でありなおかつ2年以上児童福祉事業に従事した経験がある方
  • 幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校いずれかの教員免許状を有する方
  • 大学で社会福祉学・教育学・体育学・芸術学・心理学を専修する学科およびこれに相当する課程を修了し卒業した方
  • 大学で社会福祉学・教育学・体育学・芸術学・心理学を専修する学科およびこれに相当する課程で優秀な成績を残し、大学院入学が認められた方
  • 大学院で社会福祉学・教育学・体育学・芸術学・心理学を専修する学科およびこれに相当する課程を修了して卒業した方
  • 高卒以上で、なおかつ2年以上放課後児童健全育成事業(学童保育施設)に類似する事業に従事し、市町村長が適当と認めた方
  • 放課後児童健全育成事業に5年以上従事し、市町村長が適当と認めた方
  • 地方公共団体が開催する研修

    資格取得条件を満たしたら、各自治体による研修を受講します。この研修の目的は、放課後児童支援員として働くうえで、最低限必要な知識やスキルを習得することにあります。また、この研修では放課後児童支援員として必要な心構えや考え方を身につけることも重要な目的の1つです。

    研修の日程は自治体によって異なりますが、研修期間は2~3ヶ月以内がほとんどです。カリキュラムは6分野・16科目で、1科目につき90分の講義となります。なお、保育士や社会福祉士など有資格者の方は一部の研修の受講が免除されます。研修受講の免除については、研修参加の申し込み時に自治体へ確認を取ると良いでしょう。研修参加の申し込みは、各自治体の公式サイトから受け付けています。

    具体的な研修の内容

    研修当日の時間割は午前に2コマ、午後で2コマとなっており、1日につき合計4コマ受講する必要があります。研修では学童保育施設や放課後児童健全育成事業の目的をはじめ、子どもへの理解や育成支援に関わる基礎知識などを学べます。以下に、カリキュラムごとの具体的な学習内容をまとめましたので、放課後児童支援員の資格取得を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

    放課後児童健全育成事業の理解

    このカリキュラムでは、放課後児童健全育成事業の制度内容や一般原則、各種権利擁護について学びます。くわえて、学童保育施設と家庭福祉施策の関係性についても学習します。

    子どもを理解するための基礎知識

    子ども、とくに児童の発達について全般的な知識を身につけるカリキュラムです。6歳~12歳までの子どもの発達や生活、障害のある子どもの理解について学習します。

    放課後児童クラブにおける子どもの育成支援

    子どもの育成支援や子どもの遊びの理解、障害のある子どもの育成支援について学習するカリキュラムです。子どもたちを適切にサポートできる放課後児童支援員となるためにもしっかりとメモを取り、適宜テキストへの書き込みも行いましょう。

    放課後児童クラブにおける保護者・学校・地域との連携協力

    このカリキュラムでは、学童保育施設と保護者の協力や連携について学習します。さらに、学校や地域との連携についても理解し、学童保育施設が地域において担っている役割も学びます。

    放課後児童クラブにおける安全・安心への対応

    子どもの生活面についての対応をはじめ、実践すべき安全対策や緊急時の対応方法について学ぶカリキュラムです。子どもが安心して過ごせる施設をつくるためには、安全に関する知識や具体的な対策方法を知っておくことが欠かせません。

    放課後児童支援員として求められる役割・機能

    放課後児童支援員の仕事内容や、学童保育施設の運営管理について学習します。同時に、施設の運営に関する法令やその遵守についても学びます。

    研修の1日の終わりにはレポート提出

    研修の1日の終わりには、その日に学んだことの理解度を確認するためのレポートを提出します。1科目ごとで分かったことを記入して提出しましょう。レポートに慣れていない方は、時間に余裕をもって対策することが大切です。自治体によっては、研修レポートを抜粋して公開しているところもあります。公開されているレポートを参考に、自分の言葉でアウトプットできるよう練習しておくと良いでしょう。

    より知識を深められる関連資格

    放課後児童支援員に類似する資格としてあげられるのが、「放課後児童育成支援師」「放課後児童専門育成支援師」「放課後児童高度育成支援師」の3つです。これらの資格は、日本放課後児童指導員協会が独自に認定する資格です。放課後児童支援員として現在活躍している方、または同資格を取得する見込みのある方が受験できます。

    「放課後児童育成支援師」では「育成支援計画論」をはじめとした44科目を受講し、子どもたちに必要な育成支援を学んだうえで科目ごとの試験に合格する必要があります。「放課後児童専門育成支援師」は、「子育て支援」や「生活指導」など88種類のカリキュラムから11個のカリキュラムを選択したうえで講義を受け、各科目の試験に合格すると認定を受けられます。

    「放課後児童高度育成支援師」の資格を取得するためには、放課後児童支援員として通算600日以上学童保育施設で勤務していることが必須となります。また、実践研修やライティング研修などのセミナー後、個別面談指導も実施されます。この個別面談指導をパスし、日本放課後児童指導員協会へ登録を済ませてはじめて放課後児童高度育成支援師として認定されます。

    放課後児童支援員は、子どもたちの勉強や遊びだけでなく、成長そのものを近くでサポートできる仕事。「子どもと関わる仕事がしたい」「間接的にでも子どもたちの教育に関わりたい」とお考えの方に適した仕事だといえるでしょう。

    パソナフォスターは放課後児童支援員を目指している方だけでなく、現在放課後児童支援員として活躍している方への活躍の場も提供しています。こちらのパソナフォスター採用情報では、学童クラブ・児童センターで働く指導員を募集の情報を掲載しています。学童保育施設で、子どもたちと触れ合いながら働くチャンスです。保育・学童の施設でのお仕事をお探しの方は、ぜひご覧ください。

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