本文へスキップします。

ページタイトル

COLUMNコラム

ページタイトル画像
お知らせ:表示

保育園の責任実習とは?「指導案」の書き方についてご紹介!

2023/02/10
お知らせ(保育コラム)学び・育み

「責任実習」は、保育実習の終盤で実施される実習のことです。1日を通して子どもたちと触れ合うため、どのように進めれば良いのかわからなくて、不安になる方もいるはずです。ここでは、責任実習の基本的な進め方をはじめ、具体的な保育活動を固めるための「指導案」の書き方も紹介します。

責任実習とはどのようなものか?

責任実習とは、実習先の保育園で1日を通して保育を行う実習のことです。子どもたちの登園の見守りからはじまり、朝の会や集団遊び、給食やお昼寝など1日の保育活動全般を任されます。一般的に、保育実習は責任実習を含む以下の4段階で構成されているのが特徴です。

  • 観察実習
  • 参加実習
  • 部分実習
  • 責任実習

観察実習は、最初に実施する保育実習です。保育には直接関わらず、子どもたちや保育士の様子を観察します。子どもたちはどんな行動をするのか、保育士は子どもたちの行動を受けてどのように対応するのかを観察し、自身の保育に取り入れることが大切になってきます。

参加実習では、主に保育士の補助を行います。子どもたちと直接関わることができる、初めての実習です。

部分実習は、1日のうち決められた時間の保育をする実習です。「部分保育」とも呼ばれます。歌の練習やゲーム遊び、絵本の読み聞かせなどの保育活動を、担任の保育士に代わって行います。部分実習ではどのような保育を行うのかを計画した「指導案」を作成し、その指導案をもとに実習します。

部分実習と責任実習の違い

部分実習と責任実習は、直接子どもたちの保育を担当する実習です。しかし、担当する範囲や時間に違いがあります。部分実習では決められた時間内で1つの保育活動を担当するのに対し、責任実習は1日を通した保育活動全般を担当します。子どもたちが一斉に同じ活動を行う一斉保育や遊びだけでなく、トイレや食事の介助、昼寝の準備、子どもたちの健康チェックなども行うため、実習とはいえど実際の活動は保育士と変わりません。保育士と同じ仕事を現場で遂行することで、子どもたちにどう接すればいいのか、自身の強みや弱みは何かといった点を改めて把握できます。

責任実習の日程はいつ決まる?

保育園によって細かな違いがありますが、オリエンテーションの時点で日程が固まるケースが一般的です。実習開始日には、大まかな日程と担当クラスが伝達されます。

責任実習の指導案の作成手順

責任実習では、部分実習と同様に指導案を作成します。指導案は担当保育士と相談しながら作成し、実施日の1~2週間前までには提出するのが理想です。以下にて、責任実習における、基本的な指導案の作成手順を解説します。

【手順①】指導案の形式を確認する

責任実習では、部分実習と同様に指導案を作成します。指導案は担当保育士と相談しながら作成し、実施日の1~2週間前までには提出するのが理想です。以下にて、責任実習における、基本的な指導案の作成手順を解説します。

また、指導案の具体的な書き方も保育園によって異なります。必要な配慮を細かく記入する園もあれば、時間ごとの計画を大まかに書いたうえで、別紙に配慮事項や備考を書き込むとしている園もあります。

【手順②】】保育園の規則を確認する

実習先の保育園の規則を事前に確認します。設備の使い方や遊びに関するルール、保育室でのルールなどを事前に把握しておき、それに沿って指導案を作成していきましょう。責任実習の前の部分実習や参加実習、観察実習などの機会で直接確認しておくと良いです。

【手順③】子どもたちの関係を含め園全体の雰囲気をチェックする

「子どもたちの関係はどうか」、「接するのに配慮が必要な子どもはいるか」などの点もチェックします。実習生とはいえど、子どもたちにとっては同じ先生の1人です。配慮の足りない言動で傷つけないように、子どもたちの行動傾向や友人関係をできる限りインプットしておくことが大切です。

【手順④】指導案を作成する

保育園の規則や子どもたちの関係、園全体の雰囲気がわかったら、指導案の作成に取り掛かります。指導案を一度書き上げたら、担当保育士へ提出してアドバイスをもらいましょう。もらったアドバイスをもとに指導案を修正していき、完成へ近づけていきます。子どもたちと実際に接している保育士から、直接助言してもらえる良い機会となります。ぜひ耳を傾けて、アドバイスを指導案に落とし込みましょう。余裕を持って修正・再提出できるよう、早めに提出するのがおすすめです。

【手順⑤】サブの指導案を作成する

不測の事態にも対応できるよう、副案(サブの指導案)を作成しておくことも大切です。とくに重要なのが、雨天時の想定です。園庭での外遊びやお散歩などの野外活動は、雨天時に予定を変更せざるをえなくなります。また室内での活動を予定していても、雨天時はほかのクラスも室内活動をすることになります。そのため、園内のホールや設備を使える時間が限られたり、いつもより騒がしかったりすることが想定されるのです。当日になって慌てないよう、担当の保育士と相談しながら副案を練っておきましょう。

指導案の内容

責任実習の指導案には、保育内容のほか、環境構成やねらい、予想される子どもの活動などの内容を盛り込みます。これらの項目を通して、当日はどのように動くか、どのように子どもたちをサポートするかなどの指標を固めていくのです。以下では、それぞれの項目の書き方と記入のポイントを、まとめて紹介します。

保育のねらい

保育活動を通して、「子どもたちにどんな1日を過ごしてほしいか」、「どんなことを知ってほしいか」を考えながら書く項目です。書き方の例は、以下の通りです。

  • 〇〇の遊びを通して、身近な自然に興味・親しみを持つ
  • 野菜の色や形に興味を持ち、楽しく食事ができるようになる
  • お散歩を通して地域の人や自然に親しみを持ち、社会性を身につける

こうしたねらいをもとに、1日を通してどのような保育を行うかを決めます。

活動の流れ

1日を通してどのような活動をするのか、時間ごとに記入します。子どもたちの登園から降園まで。1日の活動をすべて記入する必要があるため、部分実習の指導案と比べるとかなり長くなります。読みにくくならないよう、短くわかりやすくまとめるように工夫しましょう。

保育内容は、「子どもたちの活動」と「実習生(保育者)の活動」の2種類に分けられます。子どもたちの登園や降園、遊びといった活動に対し、実習生はどのような配慮やサポートを行うのかを並行して記載することで、当日のシミュレーションに役立ちます。また、遊びやゲームの導入、声掛けの仕方、活動のまとめも記入しておくと、子どもたちに声を掛けやすくなります。

また、活動の流れや活動内容を記載する際は、以下のポイントを意識することも大切です。

  • 子どもたちの意欲を引き出せる活動か
  • 季節や社会生活に関わりのある活動か
  • 子どもたちの年齢や発達度合いに見合っているか
  • ねらいに沿った活動か

環境構成

環境構成の欄では、教室や園庭、ホールなど子どもが過ごす環境をどのように構成するかをシミュレーションします。机や椅子はどのように配置するのか、どのような道具を使って活動するのか、道具はどこに置くのかなどの点を、文章と簡単な図で書きましょう。たとえば工作遊びでは、必要な材料の種類や数、材料の保管場所、配り方などを記載する必要があります。

くわえて、使う教室の広さや備品の種類、用具の安全性なども事前に確認したうえで、環境構成を考える必要があるのです。また、環境構成は保育の場面ごとに大きく変わります。朝の会の時間、ゲームの時間、昼寝の時間など、1日の場面ごとに合った環境設定を考えなくてはなりません。不安な場合は、普段はどんな環境構成を取り入れているのかを、担当保育士に質問すると良いでしょう。

予想される子どもの姿・活動

子どもたちがどのような行動をするのか予想して記入する欄です。保育士が声を掛けると遊びに興味を示してくれる子、お友達との会話に夢中になってしまっている子など、子どもたちの反応は様々です。できる限り多くの反応を予想しておくことで、当日慌てずに済みます。けんかをしたり、声掛けになかなか反応してくれなかったり、といったアクシデントもしっかり予想し、対応策を練りましょう。

また、子どもたちの反応を予想するためには、保育内容やねらいをもう一度よく確認することも重要です。「子どもたちが意欲を持って活動するためには、どのような声掛けが必要か」、「子どもたちにとって難しい部分、または簡単過ぎる部分はないか」といった点を見直すことで、子どもたち1人ひとりの反応を予想しやすくなります。

保育者の活動・配慮

子どもたちが遊びや給食などの活動をしているとき、保育者はその活動をサポートします。給食の時間であれば食事の介助をしたり、工作の時間であれば、うまくいかない子のサポートをしたりする必要があります。「保育者の活動・配慮」の欄には、ただ保育の内容を書くだけでは十分とはいえません。子どもたちをどのように援助するか、どのような言葉を掛けて子どもたちの意欲や興味を引き出すか、といった点を考えることが重要なのです。

たとえば「園庭での砂遊び」の場合は、以下のような活動や配慮の内容が考えられます。

  • 保育者も子どもたちと一緒に砂遊びをして、楽しさに共感するような言葉を掛ける。
  • 砂が苦手な子には保育者がそばについて声を掛け、安心して遊べるよう配慮する。
  • 子どもたちが自発的に遊び始めたら、その姿を見守る。

指導案のサンプル

指導案のサンプルを、以下で紹介します。こうした見本を参考にしながら、形式に合わせて指導案を作成していきましょう。

【責任実習指導案のサンプル】

〇月〇日(〇曜日)/天気:晴れ
指導者名:〇〇○○/クラス:〇〇組(5歳児クラス)

子どもたちの状況/
・友達と協力する集団遊びができる
・保育者の声かけで準備や片付けへ移れる
準備する教材・道具/
なし
主な活動/
園庭でのリレーごっこ
活動のねらい/
・友達と協力して遊ぶことの楽しさを感じてもらう
・園庭で遊ぶことで季節の移り変わりを感じる
時間 子どもたちの活動 保育者の活動・配慮 環境構成
9:00~
挨拶をして、朝の会の準備
朝の会
視診をしながら、1人ひとりに笑顔で挨拶
天気と日付の確認
教室の掃除・換気をして受け入れ準備をする
9:30~ 当番の子が朝の会の挨拶をする
朝の歌を歌う
本日の予定を園児たちに伝える
ピアノ伴奏をする
(朝の会の環境構成図)
※椅子や机をどのように配置するか、簡単な図があると良い
9:40~ 園庭で自由遊び
・鬼ごっこ、ボール遊び
園庭で一緒に遊ぶ
全体を見て、危険な場所はないか、けんかやトラブルはないかに目を配る
ボールなどの道具を準備しておく
リレー遊びがすぐにできるよう園庭で白線を引いておく
10:30~ 皆でリレー遊びをする 走るのが苦手な子には
付き添って一緒に走る
10:45~ 片付けをして教室へ戻る
遊びを中断できない子どもに個別で声掛け
道具の片付けを見守る
14:00~ 降園の支度
歯ブラシや連絡帳などをバッグへ入れる
トイレを済ませる
支度が済んだら保育者のそばへ集まる
帰りの会
当番の子どもが前へ出て、挨拶をする
帰りの会の歌を歌う
降園
保育者と友達同士で挨拶をして降園
忘れ物がないか、個別に声をかける
今日の出来事や楽しかったことなどを子どもたちが話
せるように問いかける
意見をいうのが苦手な子どものそばについて、一緒に
意見がいえるようにサポートする
ピアノの伴奏をする
子どもたち1人ひとりの目を見て笑顔で挨拶をする
子どもたちが保育者の周りにすぐに集まれるよう、目印の椅子を並べておく

サンプルでは子どもの反応の予想は省いていますが、書き方に迷ったときは「子どもの活動」の欄に予想をメモとして書いたり、別紙に記入したりすることをおすすめします。その場合は、担当保育士へ忘れずに相談しましょう。

責任実習は、保育学生にとって緊張の連続です。多くの学びを吸収するためにも、本番までにしっかりとした保育の知識を身につけておきたいものです。パソナフォスターの「保育Academy」では、保育学生の進路選びやスキル向上を支援する「学生応援コース」を導入しています。保育スキルのアップ講座や試験対策講座を通し、学校卒業後に即戦力人材として保育現場で活躍できるよう支援いたします。

また、パソナフォスターでは子どもたちとの関わり方、自己表現力を観察して育てるツール「CRAYONBOOK」もご用意しています。子どもたち1人ひとりに必要な環境や関わり方、成長状況を記録できるツールで、指導案作成時のヒントとしても役立ちます。保育AcademyやCRAYONBOOKなどを通して、パソナフォスターは保育士や保育に関わりたいとお考えの方を応援しています。詳しくは下記のページでご確認いただけます。

保育の研修・教育 保育Academy|パソナフォスター
CRAYON(クレヨン)|パソナフォスター

保育・学童施設でのお仕事をお探しの方は、こちらの「採用情報|保育士、学童指導員の求人・採用ならパソナフォスター」もぜひお役立てください。

コラムトップに戻る